E-BIKEでお遍路 第1回 1日目(52番 太山寺→64番 前神寺)

初日は、52番大山寺→64番 前神寺

距離:102.3 km
高度:+ 874 m / -819 m
最高勾配:23.0%
平均勾配:0.4%
移動時間:5時間34分

かつて歩き遍路で歩いた時と同じように、第52番札所・太山寺からスタートし、第64番札所・前神寺までを打って西条駅前のホテルで宿泊する――今回の旅の計画はそうだった。

歩き遍路と比べると、自転車は移動距離が長くなる分、打ち終わった場所から出発地へ戻るための公共交通機関の費用がかさむし、使える手段も限られる。
だから、日帰りでこまめに区切るのは難しい。
必然的に、まとまった連休を利用して数日間に分けて巡る「区切り打ち」のスタイルになる。
今回は3日間かけて、松山から高松まで一気に移動する予定だ。 それに、歩きの時のように「ふと立ち止まってスマホを出し、パシャリと写真を撮る」ということが、自転車だとなかなか難しい。だから今回の旅は、写真が少なめ……というより、ほとんど無い。

自宅を出発し、まずは第52番札所・太山寺へ向かう。 15分ほどで本堂の下に到着した。納経所を過ぎたあたりから本堂へ向かう道はかなりの激坂だが、そこはさすが愛車のE-BIKEだ。ギアを1段に落とし、アシストを【HARD】に設定すれば、サドルに座ったままグイグイと力強く登っていける。もちろん、息切れひとつしない。

52番 太山寺

今回は別格霊場や番外札所には立ち寄らないため、次の第53番札所・円明寺まではまっすぐな一本道だ(歩き遍路の時は円明寺の奥の院にも行ったので、ルートが少し異なる)。

53番 円明寺

次なる第54番札所・延命寺を目指す。

途中で道の駅「風早の郷 風和里」に立ち寄り、「シコイチ(四国一周)」のスタンプを押す必要があった。
そのため、山越えの歩き遍路道ではなく、海沿いの国道を進むルートをとる。
 しかし、道の駅を過ぎて浅海までの区間が厳しかった。
左側に歩道はなく、側道の幅も1m足らず、そのすぐ外側は防波堤という場所が多い。
しかも国道なので大型車がバンバンと通り過ぎていき、恐怖心をそそられる。 「右側には歩道があるんだけどな~。
一体誰だ、道路交通法を改定したヤツは! 改定するならちゃんと周辺環境まで整備しろよ、ボケーッ!」 そんな悪態を心の中でつきながら、冷や汗をかきつつペダルを回した。
なお、延命寺手前の道は、軽自動車なら通れるだろうが、普通車だとちょっと厳しそうな狭さだ。

54番 延命寺

ここから第55番札所・南光坊までは、ほぼ歩き遍路道を進むことができた。
しかし、大谷墓地を下っている最中、後ろのタイヤが急にブレ始めた。慌てて自転車を止め、恐る恐る確認すると――まさかのパンク。
 E-BIKEに乗り始めてから、これが初めてのパンク体験だった。
一応、万が一のために予備チューブは持っている。
ただ、今治市内だから、あまり使いたくない。
Googleマップで近くの自転車屋さんを探してみると、遍路道から500mほど先に1軒だけ見つかった。
しかたなく、トボトボと自転車を押して向かう。

対応してくれたのは年配の店主だった。
「あんまりスポーツバイクは触ったことないんよ~。でも、パンクなら直せるから」と言いながら、テキパキと修理を進めてくれた。
「チューブの傷からすると、ガラスの破片かなあ」と呟きながら、タイヤの中に他の破片が残っていないか入念に探してくれたが、結局何も見つからなかった。
それでも「破片が残ってないから、もうパンクはしないと思うよ」と言われ、無事に修理完了。この店を探して移動した時間も含め、ここで痛い1時間のロスとなってしまった。

店主にお礼を言い、再び出発する。
だが、走り出してすぐに「あ、E-BIKEの電源を入れ忘れた」と気づき、道端でいったん停止。電源ボタンを押すが、なぜかモニターにエラー表示が出てアシストが入らない。
「エーッ、なんでだよ!」 焦った次の瞬間、さらに血の気が引く思いがした。
「……あれ? グローブをしてない! しかも持ってない!」

慌てて先ほどの自転車屋さんへ引き返す。
E-BIKEのエラーのことは一旦頭から追い出し、店の中でグローブを探したものの見当たらない。「ひょっとして、延命寺を出発するときに着け忘れたのか?」と思い、さらに延命寺へと引き返すことにした。
途中で「パンクを確認したあの場所で、グローブを外して置いたかも知れない」と思い出し、バイクを止めて目を凝らしたが、やはり見つからない。
 大谷墓地のなだらかな登り坂を見上げながら、「マジかよ、ここをアシスト無しで登るのか……?」と絶望的な気分になる。ダメ元でバッテリーをいったん車体から外し、カチッと付け直してから電源を入れ直してみた。
すると、嘘のようにエラー表示が消え、アシストが復活した。 「よかった……!」 正直、ここで電源が入らなかったら、心の折り合いがつかずに旅をリタイアしていたかもしれない。

気を取り直して大谷墓地の坂を登り、延命寺まで戻ってみる。
途中のアスファルトの上には、オロナミンCの瓶が粉々に砕け散った破片が転がっていた。「パンクの原因はこれだったのかもな」と横目に見つつ寺に戻ったが、結局グローブは見つからなかった。
出発時にちゃんと着けたような気もするし、そうではない気もする。
ただ、パンクして自転車屋さんへ向かう途中にGoogleマップを確認した時、スマホを素手でいじっていた記憶がある。
あの時にはすでに外していたのだろうか。 もし落としたとしたら、パンクに気づいた場所から自転車屋さんまでのどこかのはずだ。延命寺から南光坊へ向かう道中も、落ちていないかと注意深く目を凝らしたが、結局見つからず、諦めて先へ進むしかなかった。

55番 南光坊

強い向かい風に阻まれた以外は特にトラブルはなかったが、「そういえば歩き遍路の時も、強い風で菅笠が飛ばされそうになりながらここを歩いたな」と、過去の記憶がふと蘇る。

56番 泰山寺

泰山寺から57番 栄福寺までは、出発してすぐ自転車では通れるけど、車では通れない細道があるが、ココは想定済み。ナビの案内を無視して、へんろ道を進む。 

57番 栄福寺

栄福寺から58番 仙遊寺までの遍路道は、階段と山道があるから別ルート。
仙遊寺の山門から本堂近くまで自転車で登る事も出来るけど、激坂だから山門に自転車を止めて、歩きで遍路道を登る。

58番 仙遊寺







仙遊寺から59番 国分寺への遍路道も麓までは山道なので、別ルートで下る。下った後は、遍路道を進む。 

59番 国分寺

本来の予定なら、ここから第60番・横峰寺を飛ばして第61番・香園寺に向かうはずだった。というのも、横峰寺は先日、登山道から自分の足で登ってすでに納経帳に重ね印をいただいていたからだ。今回は登山道入口の前まで行ってから香園寺へ向かおうと考えていたのだが、今日のパンク騒動と延命寺への引き返しで、予定より2時間も遅れてしまっている。泣く泣く、登山道入口に立ち寄る計画もパスすることにした 

60番 横峰寺

国分寺を出発し、途中の道の駅「今治湯ノ浦温泉」に寄り道してシコイチのスタンプを押す。 香園寺の駐車場にあった、以前は宝寿寺の御朱印がいただけた建物は、宝寿寺が四国八十八ヶ所霊場会に復帰したためか、すでになくなっていた。

61番 香園寺

62番 宝寿寺

香園寺から64番 前神寺までの遍路道は、自転車では通れない場所は無かったが、吉祥寺手前の最後の下り坂は車では通れない。 

63番 吉祥寺

64番 前神寺

前神寺を出たあと、加茂川にかかる伊智の橋を渡ったところで遍路道から外れ、本日の宿である「西条アーバンホテル」へと向かう。
この伊智の橋も車は通行不可の場所だ。
ホテルでは、ありがたいことに自転車をエントランスの中に大切に保管させてもらえた。
隣にはコンビニもあり、建物自体は古いもののきれいにリノベーションされていてなかなかにオススメできる。ただ、最上階の展望浴場が設備の故障で使用できなかったのだけは少し残念だった。その代わりとして500円のキャッシュバックがあったけれど。


初日からトラブル続きだったものの、どうにか予定通り西条駅のあたりまでたどり着くことができた。 だが、国分寺を過ぎたあたり――移動距離にして80kmを超えたあたりから、体力的にはかなり厳しくなり、ペダルを踏み込む足が重くて仕方がなかった。電動アシストがついている割には、自分の感覚として思ったほど距離が伸びていない気がする。

計画の段階では、タイヤを「シュワルベ マラソン」に交換しておこうか迷っていた時期もあった。まさか自分がこんなに早くパンクするとは思っていなかったので、正直かなりショックが残る初日となった。


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