四国八十八ヶ所霊場 巡礼

四国八十八ヶ所霊場 巡礼のための準備物や参拝方法について、まとめてみました。

巡礼の種類

遍路が札所を巡礼することを「打つ」と言います。
これは、昔、木製や金属製の札を大師堂や本堂の柱や長押に打ちつけた納札の慣習に由来しています。

「順打ち」と「逆打ち」

1番から88番へと番号の順番に巡礼することを「順打ち」と言い、88番から1番へ巡礼するのを「逆打ち」と言います。

一般的に遍路は「順打ち」で行われていて、道標や案内図は、だいたい順打ちを前提に表示されているため「逆打ち」は多くの苦労や困難を伴う事から、「逆打ち」1回は「順打ち」3回相当のご利益、功徳があると言われています。
また、衛門三郎(四国遍路の開祖)の伝説から「逆打ち」だと、どこかで弘法大師に会えると言われています。

「通し打ち」と「区切り打ち」

全区間を1度に打ち上げるのを「通し打ち」、適当区間に区切って打つのを「区切り打ち」と言います。

「区切り打ち」は、公共機関等を利用して、打ち始めの札所まで行き、大師堂で打ち始めの報告とご加護の祈願をしてから行に入ります。
遍路行を終えるときは、札所の大師堂で打ち止めの報告と感謝を込めたお経をあげてから行を解きます。
次に打ち始めるときは、この打ち止めした札所から始めるというやり方です。

「完全歩行」と「公共機関併用歩行」

歩き遍路では、遍路道の全区間を徒歩貫徹の意思で巡礼する人が多数。

ただ、体力を考慮して長距離歩行を要するところは、列車、バス等の公共機関を利用するのも一つの方法。公共機関を利用することで、その土地の生活に接し、地元の人々とも触れあえる機会も多くなります。 

歩き遍路 1番 霊山寺 → 6番 安楽寺

お礼詣り

打ち始めの場所について決まりはなく、最寄りの札所から始めても良いが、決意も新たに1番札所 霊山寺から打ち始める人のほうが多い。
1番札所 霊山寺から打ち始めると、88番札所 大窪寺で結願となります。
従来から遍路の間では「お礼詣り」という習わしがあり、「お礼詣り」は、本来、打ち始めの札所へするのが建前ですが、行程の都合で最寄りの札所で「お礼詣り」して帰る方法もとられています。

高野山詣り

一般的に、遍路は四国巡礼に先立ち、あるいは満願後に高野山奥之院に参詣しています。

参詣時期に決まりはありませんが、関西以東から四国に来た人々は、1番札所 霊山寺の「お礼詣り」を済ませたその足で、徳島から和歌山へ渡って高野山へお詣りする人が多い。

高野山へお礼詣り

京都三弘法詣り

四国巡礼に先立ち、道中安全を祈願して京都の3ヶ寺で菅笠(東寺)・金剛杖(仁和寺)・納札箱(神光院)を授かり、それらを身につけて巡礼する風習。
昭和30年代頃にいったん廃れましたが、平成24年(2012)に「京都三弘法霊場会」が結成され、半世紀ぶりに復活。
現在は、菅笠・金剛杖・納札箱の実物の代わりに、ストラップ型のお守り(各500円)と木札守(各200円)が用意されています。

京都三弘法

巡礼の準備物

車・バスツアーの場合

輪袈裟、納経帳、念珠、さんや袋、札、ロウソク、線香、経本、風防ターボライター等が必要なります。

詳しくは、遍路を始めた頃の準備物の記事があるので、そちらを参照して下さい。

準備

1番札所 霊山寺、2番札所 極楽寺では、一通りの必要品が揃っているので、仮に何も準備して無くても、ココで購入することができます。
ただ、自分の気に入った物を購入しようと思うと、事前にネット購入する方が良いです。
遍路用品は、意外に種類が多く、巡礼中に他の人が持っている輪袈裟・白衣・納経帳を見て、「アレ、良いな~」と思う事が多々あります。
そういう意味でも、安易に揃えてしまうと後悔したり、買い直したりすることになります。
特に納経帳は、回り始めると途中で替えることが難しいので、よく検討して購入することをお勧めします。

歩き遍路の場合

遍路用品以外は、現地調達は難しいので、事前に準備が必要になります。
歩き遍路 準備編

遍路用品の取扱上の留意点

金剛杖

金剛杖は遍路をお導き下さる「弘法大師」の化身とも言われています。
杖の本体は卒塔婆を表す物で、上部にこれを覆う帽子をつけて、ココは握らないようにしましょう。

また、杖は遍路行の精神的な支柱であることから、心のこもった取扱をしましょう。

杖より先に自分を休めるな。
腰を下ろしてから杖を置くな。杖を先に休めてから腰を下ろす。

汚いところに置かない。便所では外に置く。

宿に着けば、まず杖の先を清水で洗い、タオルで拭き取る。
杖を洗うときは、心を洗う気持ちで。

杖を部屋の一番上座か床の間に立てる。
杖を立て、まず合掌して御宝号をあげ、お礼の言葉を述べてから一日の行を解く。

朝、出発の前に、杖に合掌してお導きをお願いする。

杖先が摩耗して広がれば、路面に擦ってのける。
刃物で削ってはいけない。

橋の上では突かない。

白衣

白装束に身を固めると気分が引き締まり、修行の自覚ができます。

遍路の存在が目立つので交通安全着となります。

最も効果があることは、着用した人の個性を包み込み老若男女を消して一人の遍路となるところです。

白衣に御宝印を戴く場合、白衣は、道中衣と判衣の2着を準備します。内襟の下方裏面に住所・氏名を書いておく。
判衣は八十八ヶ所の御宝印を戴く白衣の事で、御宝印は御本尊佛様を表したものですから、判衣は丁重に扱い、下積みしたり、汚水物に近づけたりしないように。
また、洗うことも出来ないので、汚さないように気をつけましょう。
判衣は、道中衣として着用してはいけません。
判衣は巡礼の功徳がこもっており、家宝として遺族に伝えるものですが、冥土へ旅立ちの晴着でもあると言われています。

菅笠

同行二人の笠は、修行中は笠を被ったままで参拝します。
お堂の中でも、僧の前でも笠をとらなくてもよいです。
ただ、脱靴入室の時は、笠をとるようにしましょう。

輪袈裟

輪袈裟は霊場参拝の正装具であると同時に、遍路の道中修行の身支度として着用する事になっています。
ただし、手洗い等の不浄の場所に入る際は取り外すこと。

数珠(念珠)

数珠は「真言宗用」のものを使うほうが良い。
掛け方は、浄明珠側を右手中指に、緒留側を左手人差し指に掛け、房を内側に入れます。
掛ける前に輪をひと捻りしてから掛けます。

合掌礼拝の際には数珠を軽く3度摺ります。これは、煩悩を摺り減らすという意味からですが、あまり摺りすぎると仏様の功徳をも無しにしてしまうので3度以上は摺らないことになっています。

合掌しないときは、左手の親指と人差し指の間に掛けておきます。

仏様を拝むときは一匝、左手に持つときは二匝にして人差し指のところで持ちます。置くときは三匝に巻き、両房を内側にたたみ置きます。

納経帳

納経帳は丁重に扱い、荷物の下敷きにならないようにしましょう。
霊場の礼拝、読経を終えてから納経の手続きをとるのが正しい順序。

結願近くになると納経帳の盗難に気をつけましょう。
御朱印済みの納経帳は、高値で売買されているようです。
末尾に、住所・氏名を墨書きしておくと、盗難に遭っても、消すことが出来ないとのコト。

納経掛軸

住所、氏名を記入しておきます。納経所では、納経帳と一緒に差し出します。

八十八ヶ所と高野山奥之院の納経を済ませてから表装します。
表装された掛軸は、八十八ヶ所御本尊曼荼羅ですから丁重に保管し、彼岸、盆、命日などには床の間等に飾り、お線香を供え礼拝しましょう。これを怠れば家運傾くとさえ言われています。

 

霊場での参拝の順序と作法

参拝の順番

  1. 山門にて、合掌一礼(仏様が山門まで迎えに来て下さっていると感じます。帰るときも見送って下さいます)
  2. 参道は、左側通行が原則。
  3. 鐘楼で鐘を突きます。
    社寺によっては突けないところもあります。
    突ける社寺でも、早朝などは避ける等の近隣に配慮しましょう。
    帰るときは、出鐘、戻り鐘といわれ縁起が悪いので鐘は突かない。突いてしまった場合は、再度、参拝すればOKです。
  4. 手水場で、手と口を清めます。
    服装を整え、輪袈裟を掛け、念珠を持つ。
  5. 礼拝順序は、本堂、大師堂、その他の堂。
  6. ロウソク(一本)と線香(三本)とお賽銭をあげる。
    後の方に配慮して、ロウソクは上段から順に、線香は中央から立てる。
    他人のロウソクから火を点けない、その人の「業」を貰うとされている。
  7. 本堂、大師堂備え付けの鐘を打つ。
  8. 納札、写経を納める。
  9. 合掌のあと心静かにお経を唱えます。
    経本を必ず手にして読むのが正しい作法です。
    「経を読むのにたとい暗ずるとも本を看るべし」
    後に続く参拝者の妨げとならないよう正面を避け左右によって行いましょう。
    読経は「緩ならず急ならず、低からず高からず」といって中庸の声を出して淡々と唱えます。
  10. 霊場を去るときは、山門を出るに際して、本堂に向かい一礼してから次に向かいます。

読経の順番

  1. 合掌礼拝(胸の前で合掌し三礼しながら)「うやうやしくみ仏を礼拝したてまつる」と唱える
  2. 開経偈:一返
  3. 懺悔文:一返
  4. 三帰、三竟、十善戒:一返
  5. 発菩提心真言:三返
  6. 三摩耶戒真言:三返
  7. 般若心経:一巻
  8. 御本尊真言:三返 ←本堂のみ
  9. 光明真言:三返
  10. 御宝号(南無大師遍照金剛):三返
  11. 回向文:一返

「ありがとうございます」と述べ、合掌一礼して退去します。

これは定式ではなく自由な形で行われますが、般若心経、御宝号だけは欠かさないように。

本堂に次いで大師堂でも御本尊真言を除き同じ読経を繰り返します。

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